司法書士事務所における実務が受験勉強に与える影響(その4)

2019.11.25 Monday 10:00
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    こんにちは。

    中村司法書士事務所の高見です。

     

     

    前回の続きで、『相続人の判定結果によってどのように登記申請が変わるか』について、事例を基に書かせていただきます。

     

     

    事例

    下記のようにご依頼者様(50代)の御家族が亡くなられたとご相談があり、『お父様所有の不動産の相続登記の御依頼』を受けたとします。

     

     

    父(◆法∧譟吻)、長男( 配偶者・御子息なし)、二男(ぁ配偶者・御子息なし)、三男(ご依頼者) 

    ※ 銑い糧峭罎呂亡くなりになった順番です。

     

     

     

    戸籍を読み込んだ結果、ご依頼者である三男様以外に相続人となる方はいらっしゃいませんでした。

     

     

    このような事例の場合、どのように登記申請すべきでしょうか?

     

     

    前回のブログのように遺産分割協議により1件で所有権移転登記ができないのでしょうか?

     

     

    ここで思い浮かぶのは、次の一人遺産分割協議の禁止の論点です。

     

     

    ・所有権の登記名義人Aが死亡し、Aの法定相続人がB及びCのみである場合において、Aの遺産の分割の協議がされないままBが死亡し、Bの法定相続人がCのみであるときは、CはAの遺産の分割をする余地はないことから、CがA及びBの死後にAの遺産である不動産の共有持分を直接全て相続し、取得したことを内容とするCが作成した書面は、登記原因証明情報としての適格性を欠く。

    (東京高裁H26.9.30)(東京地裁H26.3.31)

     

     

    ・(上記の場合において、)BとCの間でCが単独でAの遺産を取得する旨のAの遺産の分割の協議が行われた後にBが死亡したときは、遺産の分割の協議は要式行為ではないことから、Bの生前にBとCの間で遣産分割協議書が作成されていなくとも当該協議は有効であり、また、Cは当該協議の内容を証明することができる唯一の相続人であるから、当該協議の内容を明記してCがBの死後に作成した遺産分割協議証明書は、登記原因証明情報としての適格性を有し、これがCの印鑑証明書とともに提供されたときは、相続による所有権の移転の登記の申請に係る登記をすることができる。

    (平28.3.2-154号)

     

     

    つまり、遺産分割協議がされていた場合は、その内容で直接相続登記をすることができるが、

    遺産分割協議がなされないうちに相続人がお亡くなりになり、結局相続人が一人になってしまった場合は、直接相続登記はできず、法定相続による登記を順次すべきということになります。

     

     

    したがって、今回の事例において、遺産分割協議がなされていないまま順次御家族がお亡くなりになったとすると、登記の申請としては、

     

     

    1/3 所有権移転 父→亡母、亡二男、三男

     

    2/3 母持分全部移転 母→亡二男、三男

     

    3/3 二男持分全部移転 二男→三男

     

     

    となります。

     

     

    前回のブログの事例では、遺産分割協議により1件で所有権移転登記ができましたが、今回のように相続人が一人の場合は1件で申請することは出来ません。

     

     

    以上のように、相続人の判定結果によって登記申請はガラッと変わるため注意を要します。

     

     

    実務で経験することにより、試験において的確に判断する力が養えると感じました。

     

     

    今回は以上となります。

    最後までお読みいただきありがとうございました。

     

     

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